他力というのは難しいな。人間は知識を探求するものであって、一度獲得した知識を忘れるということは難しい。生きること、死ぬことを一度考えると、完全な他力というのは難しくなっていく。真剣に取り組めば取り組むほど自力に近づく。

他力といえば一神教がそうだと思うのだが、一般の人々が自己を知ることができる時代になって急速に形がい化が進んだと言えるだろう。「神は死んだ」と言わしめたのは蒙を啓く時代の到来だったのだ。

人々は「自力」の世界で生きるしかなくなった。それは苦しい時代の始まりだったのではないかと思う。

グダグダと御託を並べてしまったが、本書は宗教書ではなく小説である。淡々と生きて行く親鸞の周りで、他力とそれ以外が暗闘する物語である。重厚な小説というと矛盾しているようだが、小説として飽きずに読ませる作品である。

親鸞 完結篇(上) (講談社文庫)
五木 寛之

親鸞 完結篇(上) (講談社文庫)
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