3月 13, 2010 0
2月 22, 2010 2
日本語が読めない?
“つぶやく”だけで漱石も一葉も読めなくていいの?:日経ビジネスオンライン
筆者はその昔、書店の現場で10年ほど働いていました。そのとき店頭で――もう20年ほど前になりますが――大学生であろう女性から、こんな問い合わせを受けたことがあります。
「樋口一葉の『たけくらべ』の翻訳ってないですか」
「え、樋口一葉は古文じゃなくて、普通の日本語だったよな」と内心思いつつ出版の有無を確認して、
「申し訳ありません、原文のものしか出ていないようです」
と答えると、その女性は残念そうに帰っていきました――。今から思い返せば筆者は、時代の重要な転換点を、このときに見逃していたのかもしれません。つまり、この頃から日本人は「古文や漢文が読めない」から「古文調や漢文調がきつい文章も読めない」に移行しつつあったということです。
確かに明治や大正の頃の文章は読みにくいと思う。だけどさすがに「たけくらべ」を「翻訳」しようとは思わない。
言葉は時代につれて変わっていくもので仕方がない側面もあるけど、現代風に「翻訳」してしまったら原文の持つムードというかその時代の空気みたいなものがなくなってしまうような気がする。
まあ、そういうムードみたいなものを味わうというのは趣味の範囲といえるかもしれない。しかし問題は現代風のしゃべり言葉だけだと語彙が乏しくなってしまうことなのだ。古い言葉には難しい概念を表現するものがある。身の回りの見えるものだけを表現するだけで楽をしていると思考能力が弱ってしまうのだろう。
多少難しいと思ってもたくさん読んでいくうちに慣れてしまうものだ。今は「青空文庫」だってある。どんどん読んでいろいろ考えてたくさん書いて良い頭を作っていきたいものだ。

9月 15, 2008 0
読了:メコン・黄金水道をゆく
7月に読んだ「真昼の星〜」が面白かったので、また秘境紀行モノであるこの本を選んだ。
ひと昔前と比べれば、世界中に秘境といえるような場所はずっと少なくなったのだろうけど、そんなこととは無関係な暮らしを続けている人々がいる。変化の激しいニッポンに住む僕にとってはそれがいつも不思議で衝撃的に感じるのだ。
ど こに行っても水ばかりの、水辺というより水上に住むという想像できない暮らし。生きるための毎日の仕事。それを貧しさと括ってしまうこともできるけれど、 生きるために毎日あくせく働く暮らしは僕だって変わらないし、上を見ればキリがない。生きるエネルギーとでも言うようなものはとても彼らにはかないそうも ない。だったらいったい豊かさというのはなんなんだろうと考えてしまった。
いろんなことを考えてしまうけど、やっぱり椎名誠は面白いなあというのが結論。
メコン・黄金水道をゆく (集英社文庫 し 11-30) (集英社文庫 し 11-30)
椎名 誠

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9月 6, 2008 0
iPod touchで本を読む
8月 8, 2008 0
読了:虚空の旅人
守り人シリーズの4巻目になるのかな?待望の文庫版。書店で見かけてすぐに買ってしまった。
あのひ弱な感じだったチャグムが聡明で熱い心の立派な 皇太子に育っているのがうれしい。新しい隣国が舞台なのだが、この著者のすごさを改めて感じる話だと思う。というのは、国や地域、民族がもつ価値観の多様 性と、その相互理解の難しさみたいなものをうまく表現しているのだ。
この手のファンタジーでは、大抵の場合主人公の価値観が色濃く、それ以外の価 値観は単純に敵であったり、最後には主人公の価値観に迎合する展開であったりすることが多いのだが、この作品にはそれが感じられない。だからちょっと物足 りない感じがする部分もあるのだが、価値観の違う人々をきちんと描くことで世界観がリアルに感じられるようになっているのだ。
面白いと思ったのは 小谷真理による解説。守り人シリーズは男女が逆転しているという。言われてみればそうだ。バルサは用心棒なんかやっている屈強の武人で、その幼なじみはど ちらかといえば学者タイプで料理も上手な家庭人のイメージの男。チャグムに至っては異界の卵を宿して出産を経験していたりもする。この作品でも国の中で政 治力を発揮し、多少の犠牲を払っても国を守ろうとするのは女性たちで、どんな大義名分があっても犠牲は許されないと考えるのは男であるチャグム。この価値 観の対立と男女の違いを重ねて考えるのは間違っていると著者は考えているのかもしれない。
チャグムと一体となって働くシュガがまたいい。チャグムがシュガにかける言葉がまた泣かせる。
「守り人」と「旅」が織りなすドラマは先の展開が楽しみなのだな。
虚空の旅人 (新潮文庫 う 18-5)
上橋 菜穂子

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8月 2, 2008 0
読了:孤高のメス
肝移植を軸に、天才的な手技を持つ外科医と保守的な大学、地方病院の問題点を描いた作品。と言えば社会派作品という側面が強くなってしまう。そういう問題 提起ももちろん大きな部分を占めるのだが、この作品の魅力はやはり主人公当麻鉄彦が行う手術の場面だろう。外科医というのはまず手技に秀でていなければな らず、論文の評価だけで地位が決まるシステムは意味がないだけでなく、有害であると訴える。
医者ではない一般人から見ると手術は怖い。きちんと治 療の内容を説明しない医者も居たりしてあまり手術がどのように行われているのか知る機会は少ない。僕はこの一年あまりの間に自分や身内の手術の経験から知 ることによる安心感というのがあるのだということを実感して、自分や身内の受ける治療について勉強するようになった。
そういう関心の中で興味をもった小説だったが、読み始めたら面白くて5日で6冊一気に読んでしまった。
最初はビジネスジャンプに連載されていた劇画「メスよ輝け!」で、この小説はそれをノベライズしたものだ。コミックのほうも読んでみたい気がするが、小説を先に読んでしまうと自分の持つイメージと違和感が出てしまうことが多いのが難点だ。
手塚治虫のブラックジャックが好きな人は文句なく楽しめる小説だと思う。
孤高のメス 第1巻―外科医当麻鉄彦 (1) (幻冬舎文庫 お 25-1)
大鐘 稔彦

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7月 19, 2008 0
読了:峠越え
この人の描く江戸の人々は優しいとつくづく思う。
暖かく見守るというような優しさではなく、時には敵と思えるような厳しさで鍛える。見込んだ者を本物に育て上げようとする人々の目。「だいこん (光文社文庫)」と同じように、厳しさに真摯に立ち向かってひとかどの者になっていく主人公を軸に、周囲の本当の優しさを持つ人々を描くのが作者は好きなのだ。
相変わらずここに必要なのかと疑問に思う冗長で説明的な江戸の風物の描写が気になるし、最後には主人公が誰なのか解らなくなる欠点はあるように感じるが、主人公が自分の才覚でトントン拍子に成功していく物語はとても楽しい。
なんだか都合が良すぎるストーリーではあるが、時代物はファンタジーなのだからそれでいいのだ。
平日の空き時間に読みつづけて二日で読んでしまった。
峠越え (PHP文庫 や 40-1) (PHP文庫 や 40-1)
山本 一力

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7月 16, 2008 1
読了:真昼の星ー熱中大陸紀行
初めて椎名誠の文章を読んでからたぶん25年以上経っている。最初に読んだのは旅雑誌で、時刻表完全読破みたいな記事だったと思う。なんだか面白い文章を 書く人だなあと思っただけだったが、後に社会人になって東京に住んでいたときに電車の中の読み物として文庫を次々と読むようになった。
その中では「パタゴニア―あるいは風とタンポポの物語り (集英社文庫)」という作品がとても好きで、これを読んでパタゴニアの印象が脳裏に焼きついた。
ここ数年の椎名誠は、歳のせいか落ち着きのある文章になっていて、昔の勢いがなくなったような気がしてしばらく読まなかったのだが、書店でこの本をみつけて、パタゴニアという文字に引かれて買ってみた。
もちろんパタゴニアに行った話は魅力的なのだが、この本で一番印象的だったのはチベットだった。
パ タゴニアにしてもアマゾンにしても、僕達の暮らしとはかなりかけ離れた世界なのは間違いないのだが、どちらもそこに住む人々の心持ちみたいなものがなんと なく想像できるというか、あまり僕達と違わないのではないかと思えるところがある。しかしチベットの人々の気持ちはなんだか想像がつかなかった。もちろん 僕自身の体験ではなくて、椎名誠の体験を本で読んでいるわけだから、たぶんこれは椎名誠が感じたことなのだろう。
何ヶ月とか何年とかかけて聖地に 巡礼する人々とか、日本で言えばかなりの田舎だと思えるような街でもそこが毎日お祭りのような世界だと感じて金を使い果たして郷里に帰ることもできずにブ ラブラしている人のことが書かれている部分を読んで、果たしてこれが本当に同じ地球に住む人々なのだろうかと思ったりした。
100年以上も前と変わらない暮らしを続けているのを知ってみると、僕達の暮らしが彼らよりも幸せだとは言い切れないのだなと思った。
そういう世界を自分の目線で淡々と綴っていくのが椎名誠の醍醐味だったな、と思い出させてくれた一冊だった。
真昼の星―熱中大陸紀行 パタゴニアアマゾンチベット (小学館文庫 し 2-4)
椎名 誠

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7月 13, 2008 0
読了:思考の整理学
考えることについて考えるのは結構楽しい。
この本、書店でわりと平積みになっているのを見かける。売れているんだな。
最初の発売が1986年。結構古い。だけど中身は全然古くない。むしろ最近書かれた本みたいだ。
文庫の腰巻に「もっと若いときに読んでいれば...」というアオリが入っているのだが、僕もそう思った。
アイデアとか、まとまった考えというものは、どこからか沸いてくるように思いがちだけれど、それはそれまでに蓄えた経験とか知識があってのことだ。本を読んだりして情報を集めるのもそのひとつ。
だけどそれが自分なりの「考え」と呼べるものになるにはある程度の過程と時間が必要。例えばその過程には「寝かせる」とか「忘れる」というものも必要。と書いてある。
こ ういうのは経験的にわかっているようで、実は実践が難しいことだ。「忘れる」というのはとても無駄で良くないことであるように学校で仕込まれてきているか ら、忘れることにはほとんど恐怖といっていいような感覚がある。「寝かせる」にしても、本当にひと晩寝たらいいもっといい考えが生まれるなんて、「今日で きることを明日に延ばすな」と教え込まれてきたらとてもじゃないけど信じられるものではない。
この本では古今の人々や著者自身の経験を通じて、これらを必要なこととして論じていて、大変ほっとする。
もちろんこのような行動原理が効果的に作用するためには、日頃からやっておくことがあるわけで、それは結構まめでないとできない気がするのだが、その辺もちょっとした習慣づけについて具体的に書かれている。
僕 もその手のちょっとした日常の工夫をいくつかやっていて、その中心はとにかくノートをとるということだ。小さめのノートとペンを常に持ち歩いていて、アイ デアでもTODOでもなんでもそのノートに書いていく。注意しているのは日付が変わったら改ページすることと一番上に日付を書くこと、項目毎に連番をふる こと、あとでちょっと書き足したりすることを考えて空白行を入れること。
そういう雑記ノートから派生して、予定は手帳に転記し、一日の終わりにはそのノートを眺めながら日記を書き、こうやってブログに記事を書いたりすることになる。
雑記帳的ノートにメモしていくのが情報収集の段階で、最近は本を読むときにもちょっとした工夫をするようになった。手元にポスト・イット フラッグと いうのを持っていて、読んでいてこれは面白いと思ったり、あとで引用したいと思う場所に貼るのだ。それと、本の扉を開いた最初ページに大きめのこれまたポ スト・イットを一枚張っておく。ページに貼ったフラッグのほうにちょっとメモもできないことはないが、小さいので、思い浮かんだアイデアをこの最初のペー ジに貼ったポスト・イットにメモしていく。
こうやってちょっとした工夫をしながら本を読んでみると、読みながら頭がよく働く感じがする。
そんな断片を集めてまとまった文章としてアウトプットするというのは「考え」をまとめるために重要で、それが日記だったりブログだったりする。日記もブログも目的ではなくて手段なのだな。
ノー トに書いたり、日記やブログを書いたりするのは安心して「忘れる」ためにやっていることらしい。人のアタマというのは大事なことは忘れないもので、こうい う手段を介して情報を取捨選択することでより整理された「考え」を生み出すようになっている(とこの本に書いてあった)。
僕の細かい工夫は情報整理系の本や情報を読んで試行錯誤的に自分に合うものを構築してきたものだけど、この本を読んでなぜそれらの工夫がしっくりくる感じがするのか解ったような気がして、とりあえずは間違ってないなというような安心感を持つことができた。
考えることについて考えるのは究極の考えることなのでとても楽しいのだ。
思考の整理学 (ちくま文庫) (ちくま文庫)
外山 滋比古

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7月 2, 2008 0
読了:要するに
この人の文章(正確には翻訳だけど)を最初に読んだのは、「伽藍とバザール」という有名なもので、「ノウアスフィアの開墾」、「魔法のおなべ」も一気に読んでしまったものだった。
知っている人は知っていると思うけど、今の時代にはちょっと珍しい人で、書いた文章をこんな宣言をして大量に公開していたり、「プロジェクト杉田玄白」といういろんな外国の文章を翻訳公開するなんてことをやっている。
文体はカジュアルというか言文一致スタイルで、かなり辛辣なことを書いたりしているから、好みは分かれていると考えられるが、僕は好きだ。
この本は、これまでに彼が書いてきた(ネットに掲載してきた)文章をまとめたもので、たぶんここの どこかには載っているものだと思う。でもまあ、こうやって文庫本になっていれば携帯性が良くなってありがたい。伽藍とバザールなんか、無理してPDAにダ ウンロードして読んだりしていたものだが、本という完成された形にはまだまだだということを思い知らされたものだった。
本の中身が僕にとってどれくらいおもしろかったかは、上の写真の本にピラピラとついた付箋で想像してもらいたい。あとでどこかで引用してみたいと思うような文を見つけたところだ。例えば、
し かし、鎖の強さはそのいちばん弱いリンクに規定される。鎖全体を強化しようと思えば、いちばん弱い部分を補強すべきなのであって、いちばん強いところを一 層強くしても何の役にも立たないのである。これを人間に当てはめれば、強い脳を強化するツールは、人間としての能力(つまりは生産性)の向上には役立たな いのではないか、ということになる。
要するに脳力をサポートするものより腕力をサポートするものを開発・強化したほうが人間の総合的な能力の向上に役立つのではないか、なんてことが書いてあったりして、なかなかおもしろい視点だと思ったりするわけ。
この人が翻訳した文章の量は尋常ではない。CODE VERSION 2.0みたいな分厚い本も書店にある。こういう辛辣だったり堅かったり難しかったりする本ばかりではなく、「不思議の国のアリス」もあったりするところが面白い。
本じゃなくても読めるまとまったテキストがたくさんあるというなんともありがたい人だなあと思うのである。
要するに (河出文庫 や 20-2)
山形 浩生

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