本の情報
どんなことが書いてあるのか?
- 特別阿房列車
- 区間阿房列車
- 鹿児島阿房列車
- 東北本線阿房列車
- 奥羽本線阿房列車
読んでどんなことを考えたか?
旅というのは阿房列車を至高とする。
僕はそう思いましたね。
まず、目的地は便宜上定めるけれどもないに越したことはなく、用事はあってはならない。帰路は「帰る」という用事ができるので良くないというくらいである。ただ乗っていく。乗るなら一等で、さもなければ三等。酒は友。
今やどこでも飛行機やら新幹線やら高速化が進んでしまって、百閒先生のような旅は日本ではほぼできなくなってしまったが、こういう旅のワクワク感はなくしたくない。出かけたいとなったらすぐ出かける。こういう身軽な人になりたいと思いながら幾星霜。僕は残念ながらまだそのような境遇には至っていない。しかし百閒先生も阿房列車を書いたのは還暦頃のようだ。まだ僕には時間がある。
百閒先生の時代のような感覚を味わいたかったら、今は外国に行くしか無いような気がするが、基本的に用事無く外国に行くというのは難しいものである。入国するにしても「観光」とでも言わねばならない。そこで「観光」という用事ができてしまっては台無しである。便宜上「観光」と言うにしても、無責任な時間で走っている列車に乗るのはこれまた大変なことである。
しかし、形は変わるにしても僕なりの阿房列車(列車ではないかもしれないが)はなんとか実現したい。そう思う。
このような阿房列車であるから、観光地とか見どころのようなものは全くと言っていいほど書かれていない。しかし面白い。そうだ。最近なら「水曜どうでしょう」がやっていた旅がそれに近い。あの面白さがわかる人なら阿房列車を楽しめるであろう。
面白かった?
もちろん面白かった。読み進むのが惜しいくらいで、じっくり味わいながら読んだ。だから時間がかかった。読書の本当の楽しみはこういうものである。人生の時間が限られるというのが残念。
それでもまだ第二阿房列車と第三阿房列車がある。楽しみに読み進めてくのである。
まとめ
とにかく旅に出たくなる本である。僕に百閒先生のような高利借りの得意技があればなあ……