著者になりたい人をITの基本からサポートする読書と編集のにゃおです。
今日はちゃんと(^^;本の話を
2回めの読書会
僕はZoomを使った読書会を前に一度企画していて、残念ながら誰も集まらなかったのでとりやめにした。まあ、最初からそんなにうまくは行かないものだから、それはそれとして、モチベーションは大きく下がってしまい、なかなか次をやる気にならなかった。
とりあえず1回目のダメージからは復活(ってほど深刻じゃなくて、単にちょっと億劫だっただけだ)したので、2回めを企画した。
「円城塔の良さを語る読書会」
うーむ。我ながら難しいテーマを選んだ気がする。しかし今回は「ひとり読書会」になってもやる。という強い意志を持ってイベントを立てた。
今回は参加を表明してくれた方がいた。嬉しい。一歩前進。
しかし残念ながらその方は当日参加できなくなってしまった。
うむ。半歩後退したが、着実に前に進んでいると考えることにして、「ひとり読書会」に勤しんだ。とりあえず考えたことをまとめておく。
読んだ本
参考文献
読んでみた感想
どの作品も、プログラミングをテーマにしている。というか、プログラミングというモチーフを使って言葉を綴った感じ。
頭の働かせ方はプログラミングそのもので、書いたものがプログラムではなく日本語の文章であるという感じかな。
プログラミングで使われる概念を使って文章を書いたということもできるかもしれない。
たぶんこれはプログラミングを経験したことがない人にとっては恐ろしく難解で、これらの小説の好き・嫌いにつながってしまうのではないかと思う。ある意味かなりオタクチックな世界だ。
「これはペンです」では文章を生成するということについて、空想的機械を抽象的に語ることによって小説を書くことについて語るという一種再帰的な文章構成になっている。再帰はプログラミングをしていてなかなか難しいと思う分野なのだ。何しろデバッグが大変だ。そしてそこではスタックが大きな役割を果たす。
「良い夜を持っている」はこのスタックが主役と言ってもいいかもしれない。「父」の頭の構造はスタックを使って順に計算をしていくような方式を持っているように見える。計算機理論の中に逆ポーランド記法というものがあって、対象とするオペランドをスタックに積んで、オペコードが出てきたら積んだものを順に取り出してオペコードの処理を行うものだ。こんなことを言ってわかる人はあまりいないと思うけれど、計算機処理をする上では重宝するやり方なのだ。そういうふうに物事を考える人を描いているような気がする。
「リスを実装する」は、少し前に読んだので内容を忘れてしまったのだが、リスの行動を克明に描くことでリスの実態に迫ろうとする感じで、オブジェクト志向的な香りを感じたような気がする。
あくまでも僕が一度読んだだけの直感であって、もう一度読んだら見解が変わるような気がするけれども、僕が読んだ3つの作品が計算機の理論を応用した小説であることは間違いないと思う。
SFという分野について
ジャンル的には枯れたというか、終わったという感じがする。
ただ、そこから分化したジャンルはあるのかなという印象。
僕たちの世代の未来的なものはもう実現されている。想像力の限界を超えた。
小説の進化
これまでもいたような気がするが、思いっきり理系な人が小説を書くとこうなるのかなという感じ。難解。でもイメージできるのは僕がソフトウエアをやってきたせいだと思う。
好き・嫌い
SFは昔オタク趣味の一つだった。最近はみんなオタク。インターネット時代が来て、SFは現実の世界で起こることになった。それに伴ってジャンルが詳細化し、ジャンルごとに好き嫌いがあるというイメージ。
面白い作家だろうか?
すべての作品を読んだわけではないから、一見さんの意見になってしまうけれども、面白いのは間違いないが、難解この上ない。きちんと理詰めで考えながら読んでいかないと何が書いてあるのかわからない。
一緒に仕事をしたという伊藤計劃の作品はもう少し読みやすかった。だから他の作品にはもっと読みやすいものがあるに違いないと期待している。
好みはかなり分かれるだろう。
次に取り上げたい作家は?
夢枕獏 とくに陰陽師
というわけで、次回は「陰陽師について語る読書会」をやろうと思っている。
参加してみたいと思う方は読書と編集にいいねをお願いします。イベントを立てたら通知されると思います。どうぞよろしく。