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そのサービスは信頼できるのか?

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自分のコンテンツをどのサービスに委ねるか。これは案外頭の痛い問題である。

新しいサービスがどんどん生まれても、そのサービスが認知されるまでには時間がかかる。認知されたとして、サービス提供者がどの程度の資金を持ち、継続性が担保されるかという点は判断が難しいものである。

僕がどういう観点でサービスを判断しているか、ちょっと考えてみる。

まず、サービスがどの程度物理的基盤を持っているかを考える。たとえば、AmazonやGoogleは文句なしに十分な物理的基盤を持っている。例えばGoogleはこんな感じだ。これはGoogle Cloud Platformのロケーションだが、世界中に展開されていることがわかる。たぶんGoogleのサービスもこれらのインフラの上に載っているのだろう。これを見ると、Googleはそう簡単になくなる会社ではないなと思うのではないだろうか。

とすると、この安定した基盤の上に自前のサービスを作ってコンテンツを提供するというのは結構安全だ。そのかわり自分でサービスを構築し、維持するという手間がかかってしまう。

次に考えるのはたぶんこれらのクラウドの上に構築・提供されているであろう各種サービスの継続性だ。例えば wordpress.comである。

WordPressはContents Management Systemとして今や一流の地位にある。ちょっとググってみよう
なんと、世界中のWebページ(CMSを使っていないものも含む)のうち、1/3がWordpressで作られているという。Wordpressはオープンソースのアプリケーションで、それをサービスとして提供しているのが wordpress.com ということになる。

これほどのシェアを持つアプリケーションの開発を手動している会社がやっているサービスなら、ある程度信頼できるような気がする。

ここまでは信頼できる材料がわりとしっかり揃っていて、人類滅亡の危機にでもならない限り自分のコンテンツを置いても安泰そうである。

この先はちょっと難しい。
十分なシェアを獲得しているとは言えないサービスがどんぐりの背比べ、雨後の筍のように生まれる世界になる。

代表的なところでは「はてな」がある。コンテンツの置き場所と考えたとき、「はてなブログ」はこれまでの運用実績からひとまず安心できる。ただ、「株式会社はてな」がこの先安泰かというと少し疑問符がつく。決算報告や株価、関連ニュースをちょっと気にしなければならない。こういうサービスを使うときに重要なのは逃げ道があるかを確認しておくことである。はてなブログは記事のエクスポート機能を提供している。これが最悪はてなブログがなくなることになっても大丈夫という安心感を与えてくれる。

僕はざっと以上のようなことを考えてコンテンツの置き場所を決めている。

ちょっと違う角度から見てみよう。

電子書籍。僕が押すのはKindle一択。これはAmazonに対する信頼である。あれだけの物流インフラと商流インフラをもつ企業は安心感がある。何を言っているかわからない人もいるだろうからもう少し突っ込む。

「電子書籍は自分の所有物ではない」という案外知られていない衝撃的な事実がある。実は我々は電子書籍データを買って所有しているわけではなく、電子書籍データを閲覧する権利を買っているのである。なぜそうなっているかというと、電子書籍のデータはそれ単体では見ることができないように暗号化されている。著作権を守るためだ。そして、我々が電子書籍を読めるためには暗号を解除するための鍵が必要であり、それはAmazonが持つKindleというインフラシステムが提供しているのである。もしもAmazonが潰れてしまったら、鍵の提供機能を失ってKindleの電子書籍は読めなくなってしまうだろう。実際、これまでにいくつもの電子書籍を提供するサービスがサービス停止に追い込まれた結果、読むことができなくなった電子書籍がたくさんある。ググってみよう。死屍累々なのである。

先に言ったように、Amazonは今のところ信頼できる。だからKindle一択なのである。

音楽。僕は最近音楽を所有することをやめた。昔は(今でも)レコードとかCDを持っていることが所有することであったが、購入型の配信音楽は電子書籍と同じ問題を抱えていた。亡きスティーブ・ジョブズが、DRM(デジタル著作権管理)をやめてしまえばいいと言ったのは有名であるが、DRMのコストに耐えきれずに消えた音楽配信サービスがたくさんあった。SONYですら維持できずにサービスを停止し、僕はせっかく買った楽曲を聞くことができなくなるという憂き目にあった。まだ音楽配信黎明期に起きたことではあるが、それ以来購入型の配信インフラはApple以外信頼しなかったし、今はAppleですら信頼していない。今や音楽にDRMはかかっておらず、クラウドに置くことが前提になりつつあり、結局クラウドの信頼性が問題となるようになったのである。そんな面倒なことを心配するくらいならサブスクリプションで聞ける音楽だけを聞くほうがよい。聞きたい曲は検索していつでも聞ける(まだそうはなっていないが)のである。

サービスというものが、いかに不安定な信頼できないものであるかわかっただろうか?それを運営する組織が維持できなくなったら、あっさりやめてしまうということは起こりうるのである。

さすがにインターネットの世界もいくらか成熟してきたから、そこそこの規模のサービスは何らかの形で運営が譲渡されたり、優秀は有志が移行ツールを提供したりしてくれるようになってはいるが、ゴタゴタに巻き込まれるストレスは案外大きいものである。

最後に、気にする人は気にするであろうちょっとした事件についてお話しておこう。

僕はとある書評サイトを結構使っていた。今でも存在するサービスである。でも僕は使うのをやめてしまった。コンテンツは残っているはずであるが、移行手段がないからそのままにしてある。

なぜやめてしまったかといえば、「売られた」からである。サービスの買収なんて当たり前の世の中である。「別に構わないではないか」という人も多かろう。でも、たくさんのサービス利用者が書いたコンテンツが載ったサービスを売って、数億円の収入を得た個人がいた。という事実はちょっとしたショックであったのだ。

全体から見れば微々たるものでも、自分の書いたものが勝手に売られるということに納得できないなら、自分のコンテンツを引き上げられないサービスに依存するのはやめたほうが良いだろう。

僕は日本のインターネット黎明期からインターネットを使い、新しいサービスはできるだけ経験してときには悲しい思いをしてきた。だからあえて言おう。

そのサービスは信頼できるのか?







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nyao

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本を書きたい人にITの基礎から学んでもらって、Kindleで著者デビューするまでをサポートします。 ITってよくわからないという人のために勉強会をやっています。 「読書と編集」という屋号でお仕事をしています。

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