思念波

読むこと、学ぶこと、考えること

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ずいぶん前から心の中に「飢え」のようなものが存在していることを、僕は自覚してきた。この「飢え」がなんなのか、疑問に思いながらもなかなか認識のレベルに達することが無かった。
最近、たまたま「グレート・ブックスとの対話(ダイアローグ)-学習社会の理想に向けてー」というページを見つけた。その中で「リベラル・アーツ教育とは何か」というページがある。
冒頭にこう書かれている。

 人類の知的財産である古典的名著(グレート・ブックス)を読み、それに親しみ、さらにはその内容について対話、問答、討論することでその書物の真価を問いただし、それを自らの言葉で表現することで真の教養に達することが、モーティマ・アドラー博士らの提唱する「グレート・ブックス・プロジェクト」の目標である。
 この教養は「個人の幸福」を達成するための道具のみならず、「社会(国家)の幸福」の実現、すなわち自由な社会の安寧と発展に寄与するものでなくてはならない。このようなグレート・ブックス・プロジェクト推進運動の知的背景には、西洋におけるリベラル・アーツ教育の伝統がある。

僕にとってはなかなか大きい目標だ。そんなに大それたものでなくてもよい。しかし、ここに僕の「飢え」を癒すヒントが隠されているのではないかと直感した。


まず、「リベラル・アーツ」とはなにかという点に関して述べている下記の記述で日常の自分の姿を考えてしまった。

 西洋の知的源泉は古代ギリシアにあると言っても過言ではない。リベラル・アーツもまたその例外ではなく、始まりはギリシア世界にあった。それは、「生活のために労働をする必要のない人々、すなわち奴隷ではない自由人の人々によって学ばれた学問」であったのである。繰り返すが、リベラル・アーツの「リベラル」とは、奴隷ではない自由人の「自由」の意味であり、「労働から解放された」人々の学問が「リベラル・アーツ」であったわけである。言葉は悪いが、労働をする必要のない「暇人」がやる学問がリベラル・アーツであり、この暇人(自由人)の知的進歩の度合が国家そのものを幸福に豊かにする基礎となったのである。その意味で、schoolの語源である「スコラ(schola)」が、そもそも「余暇(leisure)」を意味したというのは示唆的である。学問はまず時間の余裕(そして、そこから生じる精神的余裕)のないところには存在しないというわけだ。

現代では、古代で言うところの自由人と奴隷の区別はないけれども、自分が置かれている状況というのは残念ながら少なくとも「自由人」というには程遠いような気がしたのである。そのような認識がなぜ、どこから来るのかを考えてみようと思う。
「日常の生活に追われて」とか、「仕事に追われて」とか、「忙しい」とか良く言うことがある。そういう言葉を発するとき、目の前の現実に追われて自分の決めた枠の中で自分に働かされる自分がいる。これは他者に強いられたものではないが、一種の奴隷状態だと考えていい。上記の引用に従えば、この状況では学問が存在する状況ではないということになる。
僕は本を読み、学び、考えるということが好きなのだが、日常のあれこれに追いまくられている奴隷状態でそういうことをするのは難しい。いや、暇があったところでなかなかそういう理想的な状態に自分を持っていくことは難しいのだ。これは「奴隷」が染み付いてしまったということなのかもしれない。それでも僕は学問をする「自由人」であることを欲している。それが「飢え」というものの正体にほかならない。
生きていくうえでの目標をイメージするためには、やはり「自由人」としての教養、そしてそこから始まる思索というのが重要で、そこから生まれる自分なりの哲学が、人間としてのコアを形成するのだ。
そういう思索のヒント、入り口として、古典に学び、議論していくというのはなかなか魅力的だ。
僕は小学生のころからエンジニアを目指し、それに必要な勉強を重ねてきた。早い時期から専門的学問の分野に足を踏み入れてきた結果、このページで述べられている「リベラル・アーツ」というべき部分を学ぶことを怠ってきたというか、機会を失ってきたような気がするのだ。技術や実学が優先の世の中で、忙しく立ち回っていればそれなりの満足感を得られるけれども、なおもの足りないものを感じてしまうのは、まさに「リベラル・アーツ」を学ばず、自分の哲学というのを育ててこなかったからではないか。
そういうことを気づかせてくれたのが、「グレート・ブックスとの対話(ダイアローグ)-学習社会の理想に向けてー」であった。
技術偏重だった自分のアンテナをもう少し広げて、古典的な哲学書を読んだり、大学などの公開講座などにも足を運んでみたい。
そして、このブログに、より自分自身の言葉で語るエントリを増やして行きたいと思っている。

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nyao

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本を書きたい人にITの基礎から学んでもらって、Kindleで著者デビューするまでをサポートします。 ITってよくわからないという人のために勉強会をやっています。 「読書と編集」という屋号でお仕事をしています。

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