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読了:虚空の旅人

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守り人シリーズの4巻目になるのかな?待望の文庫版。書店で見かけてすぐに買ってしまった。
あのひ弱な感じだったチャグムが聡明で熱い心の立派な 皇太子に育っているのがうれしい。新しい隣国が舞台なのだが、この著者のすごさを改めて感じる話だと思う。というのは、国や地域、民族がもつ価値観の多様 性と、その相互理解の難しさみたいなものをうまく表現しているのだ。
この手のファンタジーでは、大抵の場合主人公の価値観が色濃く、それ以外の価 値観は単純に敵であったり、最後には主人公の価値観に迎合する展開であったりすることが多いのだが、この作品にはそれが感じられない。だからちょっと物足 りない感じがする部分もあるのだが、価値観の違う人々をきちんと描くことで世界観がリアルに感じられるようになっているのだ。
面白いと思ったのは 小谷真理による解説。守り人シリーズは男女が逆転しているという。言われてみればそうだ。バルサは用心棒なんかやっている屈強の武人で、その幼なじみはど ちらかといえば学者タイプで料理も上手な家庭人のイメージの男。チャグムに至っては異界の卵を宿して出産を経験していたりもする。この作品でも国の中で政 治力を発揮し、多少の犠牲を払っても国を守ろうとするのは女性たちで、どんな大義名分があっても犠牲は許されないと考えるのは男であるチャグム。この価値 観の対立と男女の違いを重ねて考えるのは間違っていると著者は考えているのかもしれない。
チャグムと一体となって働くシュガがまたいい。チャグムがシュガにかける言葉がまた泣かせる。
「守り人」と「旅」が織りなすドラマは先の展開が楽しみなのだな。

虚空の旅人 (新潮文庫 う 18-5)
上橋 菜穂子

虚空の旅人 (新潮文庫 う 18-5)
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nyao

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本を読むのが大好きです。積読本が多数。システムエンジニア経験あり。プログラミング言語はRubyが好きだけどPHPとJavaばかり書いている。最近はJavaScriptも好きになってきた。クラウド使ったお仕事募集中。

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