僕の年齢よりもさらに二十年くらい年をとった本多が主役の話になってくるのですね。
この巻を読むとなんとなく年をとるのがあまりうれしくない感じ。自分の年齢と感情のギャップが大きくなったらずいぶん辛いんじゃないかなあと思った。まあ、それを楽しむ余裕もある本多ではあるんだけど。
四部作を起承転結とすれば、転にあたるこの巻、前の二巻とはかなり様子が違ってきていかにも「転」という感じ。前半は仏教的素養が必要で、後半はかなりドラマティックに転がっていく。
この巻で三島由紀夫にはなにか劇的な変化がおきたみたいで、四巻目を書き終わった直後に例の事件を起こして自決することになるわけだ。その心持ちみたいなものが四巻目でうかがえるのかな。
というわけで、早速四巻目の「天人五衰」を読みに入ります。
暁の寺
三島 由紀夫
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