政治

電子メールと証拠

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今、国会で騒がれている電子メールの問題についてちょっとだけ書いてみる。
僕がこの話を最初にニュースで見たときに思ったことは、民主党(&永田議員)はずいぶん向こう見ずなことをするなあということだった。
実際に金銭の授受があったかどうかはニュースを見るだけの我々にはわからないことだから、それに対しては何もいえないが、電子メールのハードコピーを証拠だと持ち出したことに「おいおい、大丈夫か?」と感じたのである。
日常的に電子メールを使っていると、あやしいメールなんか嫌になるほど目にすることになる。いわゆるスパムというやつだ。
そのなかには、明らかにアドレスを詐称しているものもある。メールの中に書いてあるURLを大量に配るためのメールだ。
だから僕たちはメール以外の手段である程度信頼できる人のメールしか信用しない習慣がついている。信頼できるかどうか良くわからないときは、メールヘッダで経路を調べてみたりして納得できれば信頼するし、そうでなければ無視するのだ。
ここでのポイントは、電子メールの場合、電子情報として参照できるときには、ヘッダ情報を見ることで信頼できないものははじくこともできるということなのだ。ヘッダ情報には作成したメーラのソフトがなんだとか、メールが配送される途中のサーバのアドレスと時間とか、いろいろなことが書かれている。これらの情報は通常表には出ないが、たいていのメーラにはヘッダ情報を見る機能がついているものだ。
これに電子証明書を使った電子署名なんかをつければ、紙よりも電子情報のほうが証拠価値が高いということもおきるわけである。なぜなら、電子署名をつけるためには、本人しかしらない(はずの)パスワードの入力が必要だからである。電子署名された文書は、添付された署名にくっついた電子証明書を証明する機関があり、それが本物と証明され、証明書と文書の内容をもとに所定の複雑な計算をした答えと、文書作成時に電子署名につけられた答えが一致すれば文書が真正(本人が書いたもので、途中で改ざんされていない)であることが証明できるものなのだ。この証明はコンピュータなしにはできないし、電子情報だからできることなのだ。
ちょっと話がわき道にそれたが、要するにそのような電子的情報が欠落したハードコピーにはほとんど証拠能力はないということなのである。
電子情報の時にはまだ証拠価値があるかもしれないが、紙に印刷したとたんに信頼度がぐんと落ちてしまうのだ。
というようなことをなんとなく知っていれば、電子メールを印刷したものを証拠だということのあやうさは想像できるのではないだろうか。
だいたい電子メールのハードコピーなんてものはワープロでも注意深く作れば偽造できてしまうものだ。おまけに送信者も受信者もサブジェクトも黒塗り。こんなメールのハードコピーなら誰でも作れるだろう。
それに文書の中の黒塗り。最後の名前の前の一文字だけ黒く消してあったやつ。ああ、きっとあれは「@」だなと思ったのは僕だけではあるまい。こんなもの消さなきゃと思ったヤツは相当なIT音痴だと思うし、さらにいえば電子メールを多用している人ならこんな書き方はしないような気がする。「名前@場所」ならともかく。。。
以上を頭に置いて、黒塗りがあるハードコピーのコピーを証拠だといって配った民主党の議員と、それを奪い合うようにして受け取っている記者の姿を思い出してもらいたい。
僕はその場面を見て思わず言ってしまった。
「バカじゃねーの?」
国会を巻き込む覚悟があるならもう少し慎重にことを運んでほしい。記者も電子メールが出てきたらちょっと疑ってかかるくらいの知識を持ってほしい。
とつくづく思ったのだった。







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nyao

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本を書きたい人にITの基礎から学んでもらって、Kindleで著者デビューするまでをサポートします。 ITってよくわからないという人のために勉強会をやっています。 「読書と編集」という屋号でお仕事をしています。

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