芥川賞の作品はわりと好きなものが多い。この作品もなかなか良かった。
他の作品を読んだわけじゃないのだが、この人のこの作品での文章はスルスルっと流れてバサッと切れてつながっていく気持ちの良さがある。こういうと変な感じがすると思うが、夏目漱石の文章を読んだときと似ている。内容はこれも変な言い方かもしれないが視力0.1の日常という感じか。物理的視界だけじゃなくて、心理的視界とか行動半径のことだ。
20歳の千寿のなんとなくパッとしない日常、違和感、反発、、ラストで歩みだす自分。その先に見え隠れする淡々と生きる71歳の吟子の世界。
僕もそんな道をたどってきたし、今も同じように一歩一歩進んでいる。たぶんこれからもそうやって生きていく。そんなことを考えた作品だった。
ひとり日和
青山 七恵
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