失礼ながら、この本を読むまではJR北海道の車両開発力のすごさを知らなかった。DMVはかなり手作り感のある車両なので自社開発だなと思ってはいたのだが、130km運転を可能にした特急車両も企画から開発、設計が自社なのだな。
スーパー北斗とスーパーおおぞら、似たような車両だけど路線の状況に最適化するための開発が行われたらしい。世界初とか世界一の技術がたくさんJR北海道によって開発されているというのは驚きだった。
それにしても、DMVが営業運転できるようになるのは簡単なことではないということもわかった。それは技術の問題ではなくて、主に規則の問題なのだ。軽い車両が線路を走るということは保安設備がうまく動かない可能性があるということであったり、道路と違って火災時の乗客の非難が難しい可能性があるので自動車よりもずっと厳しい耐火基準があったり。道路と線路の両方を走るというのは並大抵のことではないのだ。
とても手軽そうな車両だから、今にもいたるところで走り出しそうだが、今まで存在しない車両を走らせるためには規則や基準を新たに作らなければならないから、まだ時間がかかるのだ。ということが理解できた。
まあ、そういう難しい問題はあるけれど、それらに挑戦し続けている人たちが北海道にいる。これはとても頼もしいことだ。ともすれば辺境だから仕方がないという気分に陥ってしまうのが道産子。そんなことではいけないのだな。
僕も頑張ろうという気分になった一冊だった。
線路にバスを走らせろ 「北の車両屋」奮闘記 (朝日新書 56) (朝日新書 56)
畑川 剛毅
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