なかなか面白かった。一つの仮説と言えばそれまでなのだが、経済原則に従って考えれば、明治維新の後に日本が急速に近代化したのは江戸時代に経済が十分発達していたからだということができる。何しろ自分たちは意識していないながらも西洋ではまだ成立していなかった管理通貨制度に近い仕組みを動かしていたのだから。
とはいえ、いつの時代も借金を嫌い、財政再建を優先しようとする人はいる。経済を良くすることが財政再建の近道であるとはなかなか信じられるものではないのだろう。それも分かる。経済をよくするというのは言うほど簡単ではないからだ。それは現代を見れば分かる。
ただ、経済を良くすることを真剣に考え、それを実現できれば大きく発展できる可能性が日本にはあるのだと思う。
この本で言いたいことはそういうことだろう。
経済で読み解く明治維新 江戸の発展と維新成功の謎を「経済の掟」で解明する
上念 司
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