差別という問題は難しい。日常のあらゆるところにそれは潜んでいて、意識しなければ自分が差別をしているということには気づかないものである。対して、差別される側に回った時には激しい痛みに耐えなければならないものである。その差別について哲学的手法で考察したものである。
哲学書なので読むのには苦労するが、誰の心にも差別感情があるということに真剣に取り組んでいる。
差別感情をなくすのは不可能である。しかし、我々は差別感情を意識し、それを見つめ、心から抉り出すという作業をしていかなければならない。それは辛い作業になるが、やれることはそういうことなのである。ただ制度を変えれば済むようなものではないのである。
自分の中の差別感情に気づくのは嫌なものだが、それから目を離さないで考え続けることが僕にも必要なのだと気づかせてくれた。
差別感情の哲学 (講談社学術文庫)
中島 義道
by G-Tools