本の情報
どんなことが書かれているか?
- ビッグデータでディープラーニングが実力発揮
- 人工知能でイノベーションをうむ時代に
- 人工知能と機械学習とディープラーニングはどう違う?
- 「モバイルファースト」から「AIファースト」へ
- ディープラーニングの仕組み
- グーグルのディープラーニング活用事例
- ディープラーニングで業務効率化の企業事例
- 使えるフレームワーク
- 技術革新の牽引役はディープラーニング
読んでどんなことを考えたか?
40年近く前、ぼくは人工知能に興味をもち、当時乏しい本を探して独力で勉強していた。今と決定的に違うのは、プログラミング環境すら手元になく、高価で、とても実機で実験などはできる状況ではなかったことだ。プログラミングを学ぶために電気屋に入り浸り、とりあえずBASICを覚え、学校のメインフレームコンピュータでFortranを学び、当時新しいもの好きだった教授の部屋でUNIXを使い始めた。
当時雑誌でオブジェクト指向プログラミングというのを知り、SmallTalkはとても手が出なかったので、なんとか教授に取り入ってLISPやPrologを買ってもらって夢中で触っていた。当時は人工知能といえばLISPやPrologだった。
今考えれば弱小もいいところのハードウエア環境でこれらのメモリ食いの言語を扱うのは難しかった。Prologで論理を積み重ねてヒューリスティックな自動プログラミングの基礎のウログラムを書いた。
この体験から、知能らしきものを実現するには大量のメモリが必要だということを直感的に知ったものだった。
ぼくがやったのプログラミングで知能らしき動きをすることだったが、ニューラルネットの理論は知っていた。ただ実装が非現実的だと思っていたので手をつけなかったのだ。
今やディープラーニングの時代である。ニューラルネットを激安になったハードウエアの上で贅沢に動かすことで実現されている。言い換えれば、40年前にはすでに存在した理論を動かしているに過ぎないのだが、量は質を凌駕する。だ。直接プログラミングするのではなく、学習によってコンピュータが動くようになったのだ。
グーグルはそれを実装したに過ぎない。ただ、理論と現実は違う。実装にはかなりの苦労があったはずである。しかしそれを助けたのがインターネットだった。検索企業であるグーグルには大量のデータが集まっていた。要するに学習に必要な大量のデータを集めるのが比較的簡単だったのである。果たしてそれは成果を出し始めた。
幸いなことにその成果をグーグルは公開している。いくつかの成果はAPIを使って簡単に利用できるところまで来ている。
やっと使えるようになった人工知能の果実を、あらゆる企業・個人が利用できるようになったのである。これからどんどん成果が出てくるだろう。その成果をだす人間の中にぼくもいたい。そんな風に考えた。
面白かった?
もちろん面白かった。ただ、上記したように人工知能の歴史を知っているものにとってはびっくりするようなことは書いていなかった。企業応用例がいくつか載っているが、聞いたことのある話ばかりだ。多分ディープラーニングというものが全くわからない人のために書かれた本なのであろう。最先端ではもっと面白いことがどんどん行われているのだろうと思うと居ても立っても居られない気持ちになった。
まとめ
人工知能にはまた別のアプローチもある。ディープラーニングは一応の成功を果たしているが、それだけで全てのことができるわけではない。これから新たなアプローチが色々出て来て、それぞれバズっては消え、ほんの一部が成功するという歴史を繰り返すだろう。世の中は間違いなく豊かになっていく。
ぼくはそんな楽観的な未来をこの本から読み取ることができた。