本の情報
どんなことが書いてあるのか?
- 生き残る次世代通貨は何か
- 謎だらけの仮想通貨
- 仮想通貨に未来はあるか
- ブロックチェーンこそ次世代のコア技術
- 通貨の電子化は歴史の必然
- 中央銀行がデジタル通貨を発行する日
- ブロックチェーンによる国際送金革命
- 有望視される証券決済へのブロックチェーンの応用
読んでどんなことを考えたか?
筆者はもと日銀の人だ。だから難しいことをたくさん知っている。それだけに日銀、いや中央銀行バイアスがかかっているという感じがする。
「お金2.0」を読んだ直後なのでとくにそう思うのだろう。この本はFintech2.0の段階の話を描いた本だ。要するに銀行が電子通貨を扱うようになるという話。まあ、それは結果で、本当は銀行がブロックチェーンで構成されるようになるという話なんだけど。
僕に言わせればFintech2.0なんかやる気があればすぐできそうなものだ。しかし僕はたぶんこれは実現しないと思う。
なぜなら銀行というのは過去の業態で、規制業種で、中央銀行は国の機関だからだ。
今のお金の流通方法をなんとかして新しい技術に載せようという発想である。銀行だから自分の存在を前提としてシステムを作ろうとしている。中央銀行も同じだ。なんだかんだと難しいことを言っては難しいシステムを作ろうとしている。そしてそれはたぶんセキュリティを理由として非公開に作られ、そして往々にしてそれは脆弱性を持つものになりがちなのだ。
完璧なものを作ろうとしているうちにインターネットでデファクトスタンダードな価値移動手段が生まれるだろう。そしてたぶんそれはとても使いやすいものになるだろう。
その時、銀行は中央銀行を含めてなくなっているのではないだろうか?
僕はこれを大胆な予想だとは思っていない。人類はある時を境に突然価値観を変えるときがあるのだ。
面白かった?
まあまあかな。半分は現在の銀行システムについて説明してあって、それがどんなに複雑かという話。それはそれで面白い。しかし発想は官僚的。
僕はお役所の、インターネットを使ったシステムが上手く動いているという事例をあまり見たことがないし、作られてもとんでもなく使い勝手が悪いという経験をしているから、中央銀行が仮想通貨を発行する時代というのは想像できないな。
まとめ
お金は当分なくならない。中央銀行が電子通貨を発行するなんてだいそれたことを考える必要はない。
ブロックチェーンがあらゆることを記録する時代は間違いなくやって来る。それだけは同意。
その時は銀行や証券会社じゃない別の業態が生まれているだろう。