本の情報
どんなことが書いてあるのか?
- 習近平という「新しい皇帝」の誕生
- 「皇帝の本質」は秦の始皇帝に学べ
- 前漢王朝が定着させた「国不可無君」
- 中華思想に基づく「歴史の法則」とは?
- なぜ蒋介石は「皇帝」になれなかったか
- 「皇帝政治」の終焉を狙った鄧小平改革
- 「新皇帝」率いる中国の戦略と日本の覚悟
読んでどんなことを考えたか?
まず、民主化ってどういうことかということを考えた。例えば「平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」のP66からの「政治に対する関心度」というデータをさくっと見てみると、まあ簡単に言えば日本の若者の政治に対する関心は薄いと言わざるを得ない感じだ。まあ、こういうデータが内閣府から出ているという時点でまずまずの民主化度ではあるんだろうけど、日本の民主化ってあまりレベルが高くないのかなと思ったりする。
中国はもちろん民主国家ではない。一応共産主義を掲げていて、共産党が一党独裁をしているわけだけど、これまでの歴史を僕なりに考えて見ると、ソビエトにしても中国にしても、結局は王様がいた頃と変わったわけではないようだ。革命の順番からすれば社会主義革命が最終的な革命になるはずなんだけどね。なぜか絶対王政に戻ってしまうのはなぜなんだろうなあと思っていた。北朝鮮なんか完全に金王朝だもんね。
まあ、共産主義が抱える構造的問題があるのだろうけど、結局は独裁に向かいたがる。これは人間の本能みたいなもんなんだろう。
中国人の一部は共産主義に出会ったことで、それが皇帝が支配する世界と案外整合性が良いことに気づいたんだろうな。意識していたかどうかはわからないけど、「中華思想」を新しい看板に書き換えただけで中身は変わっていない。そういう頑迷さをがある。まあ、それが中国四千年の歴史ってやつだ。
まあ、とりあえず思想的な問題は置くとして、この本には「中華思想」とか中国での「皇帝」というものがどういうもので、中国の歴史でどんな役割をしてきたか簡単に書いてある。「皇帝」を切り口に中国の歴史をざっくりと学ぶことができる。
二千年もの間、「皇帝」の支配を受けた地域が、簡単にその意識を変えることはできないのだろう。そして、またその歴史が繰り返されようとしている。
翻って日本はどうなのだろう?「皇帝」はいないけれども「天皇」がいて、なんとなく治まっている。という感じがする。政治の部分はカートリッジ式になっていて、時代時代で都合のいいものに交換できるようになっているみたいだ。だから今は民主主義国家カートリッジモードだ。まあ、こういうやりかたが日本に合っているのだろう。
近所にありながら海を隔てただけでまるで考え方が違う国になっているわけだが、いまやその海はさほど彼我を隔ててはいない。中国が「中華」をかざして拡大の時代に入ったとしたら、きちんと対応を考えなければならないだろう。
まあ、いずれにしても長い歴史で見ればまた中国の病気が始まったという感じではあるのだが。
面白かった?
面白かった。中国の歴史が概観できたし、中国人の頑固な「皇帝指向」というものの根源がある程度わかった。どこかで民衆が目覚める必要があるということもわかった。日本人も目覚めなければならないと感じたな。
まとめ
古代中国から続く「天下」を治める人間は唯一人という考え方、中国が世界の中心たるべきであるという考え方。いずれにしても古臭い考え方なのではないだろうか。ただ、そこから脱却するのがまた難しい。そのためには卓越した思想のイノベーションが必要なのではないかと思う。それを成し遂げられるのは誰で、それはいつなんだろうか?そんなことを考えてしまう本であった。